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弘前の旅 ~弘前れんが倉庫美術館編~

2022.12.21
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少し前に青森県弘前市を訪れました。

目的は妻の高校時代からの友人で写真家の
永野雅子さんが携わった展覧会を見に行くことでした。

会場は2020年にオープンした弘前れんが倉庫美術館。

明治・大正期に建設された「吉野町煉瓦倉庫(旧吉井酒造煉瓦倉庫)」
を改修した建物です。
設計を担当したのは田根剛さん。
世界で活躍している若き建築家で、建物を見学するのも楽しみでした。

美術館のエントランスはとても印象的な煉瓦の積み方としています。
「弘前煉瓦積み工法」と名付けたそうです。
今回の改修では、保存や改修だけでなく、
「新しい煉瓦の使い方も発掘する」ことも目的の一つだそうです。

奈良美智さんの作品が出迎えてくれます。

今回の展覧会は、弘前市出身のアーティスト奈良美智さんが
まだ美術館になる前の煉瓦倉庫で
2002年、2005年、2006年に開催した
展覧会の軌跡を振り返るというものです。

過去の展覧会は、当時の煉瓦倉庫のオーナーである吉井千代子さんが、
奈良さんの作品に惹かれて実現したものだそうです。

煉瓦倉庫をバックに映る吉井千代子さん。
とてもいい写真ですね。

過去の展覧会ではボランティアの方がたくさん参加して
作り上げたそうで、その様子が展示されています。

関係者のインタビュー映像や、当時の資料が活き活きと紹介されています。
手探りの状態の中、参加者がひとつになって楽しみながら
作り上げていた様子が伝わってきます!

そして写真家、永野雅子さんの展示。

小屋に見立てた空間の中に、
過去の展覧会での奈良さんや吉井さん、ボランティアの方々の様子、
しばらく使われていなかった煉瓦倉庫が展覧会場として
生まれ変わっていく様子が撮影されています。

吉井千代子さんのことは存じ上げませんが、
凛とした力強さを感じるとても素敵な写真です。

設営中の奈良さん。
現場の空気感がそのまま伝わってくるようですね!
永野さんも現場に張り付いていたからこそ
撮影できた写真だと感じました。

公的機関の主導ではなく、
ボランティアの力を中心にこれだけの展覧会を3回も開催したことは
素晴らしいと感じましたし、奈良さんの作品の魅力あってこそかと思いました。

現在は弘前市が買い取り、美術館としてリノベーションされましたが、
派手な改修ではありませんが、もとの煉瓦を残しながら耐震補強が行われていたり、
一部煉瓦の外壁ではなかったところを改めて煉瓦で仕上げたり、
新しいレンガの積み方でエントランスを演出したりと、
「煉瓦」建築であることを徹底的に純化(まじりけのない純粋なものにすること)
していると感じました。

美術館の横にはカフェレストランとミュージアムショップの入った建物があります。
シードルのタンクが置かれていて、ここでいただくこともできます。

弘前で作られている別のシードルとの組み合わせで
のみ比べもできます!

弘前では美術館以外にも素敵な建築がたくさん残されています。
また別のブログで紹介したいと思います。

太陽と森とハウス 現場です

2022.12.14
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太陽と森とハウス 現場です。

玄関扉と庇が付きました。
玄関扉はユダ木工の木製開き戸です。

屋根工事も進んでいます。
ちょうどガルバリウム鋼板葺き作業が行われていました。

内部は電気配線工事、
給排水の配管工事が進められています。
2階は床を張り始めていました。
スギの無垢フローリングです。
すぐに養生がかけられて見えなくなってしまいます。

吹き抜けを見上げたところ。

2階から見下ろしたところです。

小さな吹き抜けですが、窓には森の緑が映り、
薪ストーブの煙突が設置されて、
印象的な吹き抜けになると思います!

新しい計画 Laniハウス

2022.12.11
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新しい計画の紹介です。

敷地は公園に隣接する斜面地で、
公園の緑と空の広がりが素晴らしい敷地です。
築年数約40年のお家のリノベーションになります。

建て主さんご夫婦にお話を伺う中で
「窓からの景色をながめ、ゆっくり過ごしたい。」
「ご主人は本を読んだり文章を書いたりして過ごしたい。」
「奥さまはフラダンス、ガーデニング、シャドウボックスの制作
やミシンを使った縫物など趣味を楽しみたい。」
というご要望が印象に残りました。

お二人とも家で過ごす時間を大切にされていて、
設計者としては、嬉しいご要望でした。

趣味や仕事に熱中する傍ら、
ふとした時に顔を上げて、 公園の森の上に広がる空を眺める・・・。
季節や時間によって、刻々と変化する 空の様子を
感じながら過ごせるような そんなお家になればと
「Laniハウス」と名前をつけました。

「Lani」はハワイの言葉で「空」を意味します。
穏やかな気持ちで、 空に包まれ暮らすような・・・
そのようなイメージを考えました。

これから詳細に建物内部の調査を行って、
空や緑を感じながら、趣味やお仕事に没頭できる、
心地よい居場所を提案していきたいと思います!

sanpoハウス お引き渡し

2022.12.7
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設計監理を進めて来ていた
sanpoハウスが完成し、お引き渡しを行いました。
施工は相羽建設さん。

sanpoハウスは建て主さんがとても熱心で、
私にとっても新しい試みもたくさんあり
刺激的で楽しい仕事となりました。
キッチンカウンターの花崗岩を関ケ原に一緒に見に行ったのも
建て主さんの強い思いがあったからで、良い経験をさせていただきました!

見学会の時に家具を配置して写真を撮影しました。
私がiphoneで撮影したものですが、少し紹介させていただきます。

キッチンからダイニング越しに庭を眺めます。
これから植栽工事が行われます。

キッチンとリビング。

たためる椅子が2脚置いてある場所には、
建て主さんが現在使っているソファが入ります。
ダイニングとの間に腰より少し高いぐらいの壁をつくって
籠り感が感じられるようにしています。

植栽が入るのが楽しみです。

キッチンです。

1枚物の花崗岩を使ったカウンターは見学会でもみなさん興味津々でした。

カウンターで食事やお酒も楽しめますね!

ご主人のワークルームです。
室内の壁や扉にも断熱材を入れて、軽防音仕様としています。

街の中の小路をイメージした2階の廊下です。
家の中でも散歩気分が味わえるかな・・・と考えました。

洗面カウンターと室内干しスペースのある家事室は
日当たりの良い南側に配置しました。

こちらの照明も散歩気分を考えて
外灯で使いそうなデザインのものを選びました。

脱衣室にも収納たっぷりです。

お子さんの部屋は空色の塗装です。
今回壁と天井の塗装は、全て建て主さんご夫婦が施工しました。
驚きのきれいな仕上がりで、見学会に訪れた方々も
本当に驚かれていました。

そして色の選択が本当に素敵です!

寝室の壁は少し色味のあるグレー。
この色も落ち着いていいですね。

植栽工事が完成しましたら
また紹介させていただきたいと思います。

輪島・金沢の旅 ~漆器編~

2022.12.2
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輪島、金沢を訪れました。

盛りだくさんな旅だったので、
漆器編、建物編、名所編にわけて紹介したいと思います。

まずは漆器編から。

普段使いの漆器を紹介するスペースたかもりに勤める井上牧子さんの紹介で、
輪島で活動している作家さんの工房をめぐりました。

まずは輪島キリモトの桐本泰一さん。

オープン間もない輪島工房漆のスタジオです。
輪島キリモトの作品がずらりと展示されています。

桐本泰一さんは200年以上「木と漆」の仕事に携わってきた桐本家の7代目。
実は私の大学の先輩でもあり、大学時代はプロダクトデザインを学ばれていました。

昔ながらの漆の技法を活かして、器だけでなく、テーブルや建築仕上げ、アート作品にも
漆を使って、精力的に創作活動をされています。
そのセンスとパワーには圧倒されます!

見た目の美しさ、質感の良さに加えて、強度、耐久性にも優れた漆。
私も是非使ってみたいと感じました。

スタジオには大きなモニターがあり、
高画質のカメラで遠隔地へのプレゼンテーションが可能な設備が備え付けてあります。
新しい試みをどんどん実践されています。

工房も見学させていただきました。
写真はスプーンの木地を作成しているところです。

専用のこんなカンナを使って、
ひとつひとつ削っていきます。

このような地道な作業を大切にしつつ、泰一さんが新しい試みを実践して
輪島キリモトの魅力になっていると感じました。

次にお邪魔させていただいたのは、
塗師(ぬし)の福田敏雄さんの工房です。

福田さんの器は、漆の質感に独特の深みがあって
ついつい手に取ってしまう魅力があると感じています。

わが家にも福田さんの器がたくさんあります!
めし椀、汁椀、どんぶり・・・。
わが家の息子たちは福田さんの器と共に育ってきました。

福田さんは以前にもスペースたかもりでお会いして、
お話ししたことはありましたが、
じっくりお話を伺ったのは今回が初めてでした。

まずお家に入ると、畳の部屋に響く
素敵な女性ジャズボーカルの音楽が印象的でした。


(このCDが流れていました。東京に戻ってから買ってしまいました(笑))

その後「コーヒー飲む?」と気さくに語り掛けて下さって、
奥のキッチンから手挽きのコーヒーミルの音が・・・。

漆の塗師になったきっかけや、
器の制作に対する思いを聴かせていただきました。
福田さんは若いころに、漆の下地職人として修業を積んでいく中で、
本当に自分がいいと思うものをつくりたいと思い独立したそうです。

毎日使っていて使いやすく丈夫な器を、手の届く価格て提供したいと
考えられているようで、良い意味で「普通の器づくり」を目指されていると感じました。
私は普段住宅を設計していますが、
本当に共感することがたくさんありました。

一緒に訪れた妻と二人で、ますます福田さんのファンになりました。

翌日訪れたのが、土田和茂さんの工房。

輪島市内から少し離れたところに、
素敵な佇まいの古民家が・・・。

工房の窓からは裏山の緑がいい感じに眺められます。
海に近い地域なので、冬場は風が強く大変、とのことでした。
そのような環境で製作に打ち込む姿は、憧れますね。

土田さんはもともと眼鏡が好きで、眼鏡関係の会社に勤めていたそうです。
その後漆に惹かれ、弟子入りをして修行後に独立されたそうです。

土田さんにお話を伺っていて、
漆の質感へのこだわりが本当に強く、
いろいろと試行錯誤されている様子が印象的でした。

「漆は塗り終わって乾く前が一番美しいと感じることがあるんです。」
とおっしゃっていて、
透明感やツヤ感などまだまだ追求されている様子でした。

奥様はもともとギャラリーに勤められていたそうです。
器制作の作業も手伝う作り手でありながら、
「使い手としての視点を大切に、漆の器を提供していきたい。」
と話されていました。

そんな土田さんの個展が12月に東京で開催されます。

12月18日(日)は土田さんが材廊されるようです。

最後になりましたが、
一冊の本を紹介させていただきます。

私が普段使いの漆の器を使うきっかけとなった
スペースたかもりの髙森寛子さんの著書です。

「85歳現役、暮らしの中心は台所」

髙森さんの台所を中心とした暮らしの工夫が紹介されています。
髙森さんのお付き合いのある漆作家さんとその器も紹介されていて、
桐本さんや福田さんのことも書かれています。

髙森さんはもとは雑誌の編集者をされていて、
その後日本の伝統的な生活道具、
工芸品の取材と執筆をされていたそうです。

文章も写真もとても素敵で、
おすすめの一冊です!

(ちなみに、キッチンリフォームの話の中で、
以前に見学会に来ていただいたお家のキッチンが
参考になったと私の名前を紹介して下さっています!)

それと今回作家さんを紹介してくれた
スペースたかもりの井上牧子さんが
インスタグラムでご自分の「漆日記」を紹介しています。

@inoue_makiko • Instagram写真と動画

漆の器の普段使いの様子が伺えます。
こちらも是非フォローしてみて下さい!

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