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感情のデザイン

2024.6.23
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「The Essence of Time」というイベントに行きました。

大学時代の友人がCITIZENのデザイナーなのですが、
「CITIZEN」ブランド時計の100周年記念イベントを、
九段ハウスで企画しているという話を以前に聴き、
可能であれば是非参加したいと話していました。


このイベントは一般公開は行わず、クライアントやメディア、関係者のみの参加とのことでしたが、知人クリエイター枠ということで参加することができました。


会場の九段ハウスは、当時の財界人山口萬吉の私邸として
1927年に建築されたそうです。
設計には内藤多仲(東京タワーの設計者)、木子七郎、今井兼次の3人がかかわった、
スパニッシュ様式でコンクリート壁構造の建物とのことです。


今から100年前の1924年。初の製品となる懐中時計が作られたそうです。
当時高級品だった時計を、広く市民にも愛されるようにという思いから、
「CITIZEN」と名付けられたそうです。


それから100年の間に、さまざまな時計が作られてきましたが、
「シチズンの本質」を探るプロジェクトで、多くの社員の方が直感的にシチズンらしいと考え
選定した100本の時計をメインに展示が構成されていました。


年代順に100本の時計が一直線に紹介されているこの展示は圧巻でした!


「初代懐中時計から新懐中時計へ、進化の系統図」ということで、
技術やデザインの関連がグラフィカルに表現されています。
この展示は本当に格好良かったです!


そしてこの100本の時計が、12のカテゴリーに分類して展示されていました。


「鮮烈なインパクト」というカテゴリーで紹介されていたモデル
「SATELLITE WAVE H990」2011年です。
世界初の「サテライトシステム」アナログ式エコ・ドライブ衛生電波時計とのことで、
人工衛星から時刻情報を受信できるモデルです。
地球を回る衛星の軌道を金属のリングで表現した、
立体感が感じられインパクトのあるデザインです。


「人への寄り添い」というカテゴリーのモデル「MU」2001年です。
読み取りやすいフォントを取り入れて、誰もが付けやすく使いやすいことを
コンセプトにした時計です。
このモデルは見ているだけで、付け心地の良さが想像できます。


「新しいことへの挑戦」というカテゴリーのモデル「Radio-Controlled」1993年です。
世界初の「多局受信型電波時計」(日独英の標準電波が受信可能)とのことで、
大胆にも時計文字盤の中央に受信アンテナが配置されています。
通常アンテナなどは目立たなくするのがセオリーかと思いますが、
発想の転換ですね。

これも「新しいことへの挑戦」というカテゴリーのモデル「SOUNDWITCH」1984年です。
時計にラジオを搭載したユニークなデザインです。名前もいいですね。


各時計について、デザイナーとエンジニアの方たちが解説したシートです。

100本の時計については、以下のサイトで紹介されています。

CITIZEN

今回のイベントは、九段ハウスという時を重ねたからこその魅力が感じられる建物を会場に
CITIZENの100年を振り返るという、本当に素晴らしいものでした。

そしてただ振り返るということではなく、最後に訪れた離れの展示スペースで、
「シチズンらしさ」を探るプロジェクトから生まれた、
100年のエッセンスを未来に繋げていく
「感情のデザイン」というフィロソフィーが紹介されていました。

「感情のデザイン」

腕時計は感情とともにある。

一目見たときの「ワクワク」
触れて気づく「やさしさ」
腕につけたときの「安心感」
ふとした瞬間に眺める「喜び」
共に時を重ねることで感じる「愛おしさ」
心の奥にある言い尽くせない感情

身に着けるひとの心の動きに共鳴し
潜在的な感情を呼び起こす。
それが私たちの目指すデザインです。

CITIZENが刻んだ100年の時間と、この企画に携わった方たちの思いが凝縮されていて
本当に心に残る時間となりました。

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